データベース講座
補講2 ビジュアルデータマネージャ
データベース講座を読まれた方ならお分かりになると思いますが(読まれてなくてもかまいませんが)、VBからMDBファイルを操作することはかなり簡単です。VBから他のデータベース、たとえばOracleやSQLServer、Pervasive(Btrieve)などを操作することももちろんできますが簡単さの点から言えばMDBファイルに軍配があがります。
この補講2ではMDBファイルをいじるためのツール「ビジュアル データ マネージャ」について説明します。ビジュアル データ マネージャ(以下VIS)はVBに付属しているツールなのでVBを持っているからは皆さん使えることと思います。
1.ビジュアル データ マネージャの確認
私はもちろんすべてのVBについて熟知しているわけではないので、もしかしたらVBの種類によってはVISが付属していないものもあるかもしれません。そこでこの補講を読み進める前にVISの存在を確認しておきましょう。
VISはVBから[アドイン]メニューの[ビジュアル データ マネージャ]とクリックすると起動します。もし、[アドイン]メニューに[ビジュアル データ マネージャ]がない場合は、あなたの環境ではビジュアルデータマネージャが使えないということですのでこの補講はあまり意味がないかもしれません。
2.MDBファイルとは
さて、ここでMDBファイルについて確認しておきましょう。MDBファイルとはマイクロソフトが強力に推進しているデータバースファイルの形式で一般的にはOfficeシリーズの Microsoft Access(以下「Access」)で読み書きします。MDBファイルにはデータの内容はもちろん、そのデータをどのように表示するかなどさまざまな内容を保存することができ、プログラムもこの中に保存することができます。ここでいうプログラムとはAccessの環境内で作成されるVisual Basic(通称VBA)のことで普通のVisual Basicで作成したプログラムなどを保存することはできません。
一般的認識が以上のとおりなので「MDBファイルを作成するにはAccessを使う必要がある」と思っている人も世の中には多いようですがこれは明らかに間違いでMDBファイル自体はAccessと切り離して間がることもできます。
Access以外でMDBファイルを扱うことのできるソフトの代表(?)がここで紹介するビジュアルデータマネージャ(通称VIS)です。(ただし、Accessの方がはるかに使いやすいですね。Accessが使える環境では無理してVISを使う必要は皆無でしょう)
3.データベースの中身を見る
それでは早速VISを使ってMDBファイルの中身を見てみましょう。ここでは本編と同じくAnimals.mdbを対象とします。Animals.mdbは本編データベース講座の第1回からダウンロードできますが、まぁ他のMDBで代用されてもかまわないでしょう。
VISを起動したら[ファイル]メニューの[データベースを開く]、[Microsoft Access]を選択してください。そうするとファイル選択画面が出てくるので目的のMDBを選択します。この一連の作業でわかるようにVISの対象はMDBファイルだけではありません。他のデータベースを使用している場合でもVISが役に立ってくれるときがあるでしょう。
画像1:MDBを開く。なお、画像はすべてWindowsXPでのもの。
データベースを開くと、「データベースウィンドウ」と「SQLステートメント」ウィンドウが開きます。データベースウィンドウにはこのMDBファイルに含まれているすべてのテーブルとクエリが表示されていますね。
画像2
4.テーブルの構造を見る
ためしにテーブル「T1_動物マスタ」の構造を見て見ましょう。データベースウィンドウで「T1_動物マスタ」の左にある + をクリックしてください。そうするとノードが展開してFields、Indexes、Propertiesと表示されます。ここで同じようにしてFieldsを展開するとT1_動物マスタのフィールドの一覧が表示されます。やってみてください。T1_動物マスタには 動物ID、名前、画像、目、説明 の5つの フィールドがあることがわかります。
画像3
さらに、動物IDを展開するかクリックしてみてください。そうするとフィールドの細かいプロパティまでみることができます。
前に戻ってFieldsではなくIndexesを展開した場合はインデックスを見ることができます。
5.テーブルの内容を見る
テーブル名をダブルクリックするとテーブルの内容が見られますが標準ではカード式(単語帳のようなページめくり式のこと)で表示されます。一覧形式で表示したい場合はツールバーの「新規フォームにデータグリッドコントロールを使用」ボタンをクリックします。そうしてからテーブル名をダブルクリックすると一覧形式でテーブルの内容を表示することができます。ちなみにこの画面ではデータを編集することもできます。
画像4:赤丸で示したのが「新規フォームにデータグリッドコントロールを使用」ボタン
6.SQLを使う
SQLをご存知の場合はSQLステートメントウィンドウにSQLを入力して実行させることもできます。たとえば次のように入力してください。
SELECT * FROM Q1_動物一覧 WHERE 綱ID=5;
そして「実行」ボタンをクリックします。「パスするークエリですか?」みたいなことを聞かれる場合には「いいえ」を選択してください。
SQLが実行されると登録されている哺乳類の一覧が表示されます。綱ID=5は哺乳類を示しているのです。このことはテーブル「T3_綱マスタ」をみるとわかります。
なお、「Q1_動物一覧」はクエリです。クエリのSQL文を見るには右クリックして「デザイン」を選択します。
7.新規作成
VISではデータや構造を見たり編集したりするだけではなくまったく新しく作成することもできます。たとえば、Animals.mdbに新しいテーブルを追加するにはデータベースウィンドウで右クリックして「テーブルの新規作成」を選択します。
MDBファイル自体を新しく作成する場合には[ファイル]メニューから[新規作成]、[Microsoft Access]を選択します。
8.プログラム
さて、使いやすさはいまいちですが一通りの機能がそろっているこのビジュアルデータマネージャは実はなんとVBでプログラムされているのです。プログラムを見ることもできますがみなさんの環境で見られるかどうかはちょっとわかりません。
私の環境では \Program Files\Microsoft Visual Studio\MSDN\2001JUL\1041\SAMPLES\VB98\visdata 以下にVISのプログラムが入っています。「VISDATA.VBP」がプロジェクトのファイル名なので皆さんの環境でも探してみてください。
私はVBの他に MSDNライブラリというものをインストールしていてそれのサンプルプログラムとしてVISのプログラムがインストールされたのかもしれないのでVBを持っているだけでVISのプログラムもついているのかどうかはわかりません。どうしても見てみたい方はVisual BasicのCDを検索するとヒットするかもしれません。VBのCDには標準ではインストールされないものがいろいろごちゃごちゃはいっているようなのです。
9.締め
以上、簡単ではありましたがビジュアルデータマネージャの紹介をしました。ビジュアルデータマネージャにはこのほかにもいろいろな機能があるようですので興味や必要のある方は研究してみるとよいでしょう。それでは失礼します。